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パワーコンディショナとは?仕組みや太陽光発電における役割・機能

パワーコンディショナの仕組みや機能、太陽光発電システムにおける役割など、パワーコンディショナについての基本知識をわかりやすく解説します。

そもそもパワーコンディショナとは?

パワーコンディショナは、太陽光発電システムで作った「直流」の電気を、家庭内で使用できる「交流」に変換するための機器で、インバータの一種です。パワコンなどと略されて呼ばれる場合もあります。

また、直流から交流に変換するインバータ機能と同時に、太陽光発電で作った電気を一定の電圧に保つコンバータ機能も備えています。

絶縁方式で分類されるパワーコンディショナの種類

パワーコンディショナは、電圧を一定に保つコンバータ機能の仕組みにより、2種類に分類することができます。

  • トランスレス方式

パワーコンディショナのトランスレス方式は、太陽光発電で作った電気の電圧調整を、変圧器(トランス)を使用せずにコンバータで行うタイプのことを指します。

トランスレス方式のメリットは、変圧器(トランス)を使用しないため、直流電流と交流電流を絶縁させるプロセスが無いため、電力の変換効率が1.5%ほど上がる点です。また、高周波絶縁トランス方式に比べて回路の構造がシンプルなため、高周波絶縁トランス方式のパワーコンディショナに比べて安価な場合が多いです。

反対にトランスレス方式のデメリットは、直流電流と交流電流を完全に絶縁させていないため、パワーコンディショナに故障が発生した場合、直流電力が家庭内や周囲の家・施設に流れ、電化製品が故障する可能性がわずかですが有ることです。しかし、ほとんどのトランスレス方式パワーコンディショナでは、直流電流の流出を防ぐ絶縁変圧器部という装置が備わっています。また、アースを利用することにより安全性を高めることができます。

  • 高周波絶縁トランス方式

パワーコンディショナの高周波絶縁トランス方式は、太陽光発電で作った電気の電圧調整を、変圧器(トランス)を使用して行うタイプのことを指します。

高周波絶縁トランス方式のメリットは、高周波変圧器で直流電流と交流電流を絶縁しているため、直流電力の流出を確実に防ぐことができます。また、パワーコンディショナ自体の大きさがトランスレス方式に比べてコンパクトなので、産業用太陽光発電システムのパワーコンディショナとしても広く採用されています。

反対に高周波絶縁トランス方式のデメリットは、回路構造が複雑なためトランスレス方式のパワーコンディショナに比べて価格が高い場合が多いという点です。

パワーコンディショナの選び方・特徴・留意点

パワーコンディショナの寿命は太陽光パネルより短いため、太陽光発電を運用していく上で、1度や2度買い替えの機会が訪れます。

そんなとき、パワーコンディショナ選びで迷わないために、パワーコンディショナを選ぶポイントをご紹介していきます。

最大定格出力

「最大定格出力」とは、パワーコンディショナが出力を行える最大電力値のことを指しています。

太陽光パネルの出力がパワーコンディショナの最大定格出力を上回ってしまうと、上回った分の電力は無駄になってしまうので、パワーコンディショナの容量には注意が必要です。

ただし、パワーコンディショナの容量を超えて太陽光パネルを設置する「過積載」を行うことで、発電量をアップすることもできます。「過積載」は、たとえば49.5kWのパワーコンディショナに対し、70kWの太陽光パネルを設置する場合等を指します。

パワーコンディショナより大きな容量のパネルを設置することで、朝夕や日射量の少ない日などパネルの発電量に対してパワコンの容量に余裕のある時間帯の発電量を増加させることが可能です。

販売価格

パワーコンディショナを選ぶうえで、「販売価格」は重要なポイントです。太陽光発電は、固定価格買取制度(FIT)による売電開始以降、順調に普及しました。それに伴い、太陽光発電システム全体の価格も値下がり傾向にあるため、パワーコディショナーの価格も10年前と比べて安くなっています。

太陽光発電施工業者から購入する場合は、多くは商社から仕入れ部材費などとして提示されると思いますが、1社から提示された価格だけでなく、複数の業者の見積もりを比較することが重要です。

また、インターネット上で販売されているパワーコンディショナの価格なども、相場を知るうえで参考にするとよいでしょう。

保証

パワーコンディショナの保証内容や期間も重要なポイントです。少し前までは、パワーコンディショナのメーカーによる保証は10年程度がほとんどでしたが、最近では有償も含めると15~20年といった保証を設けているメーカーも出始めています。

パワーコンディショナの寿命は10~15年程度といわれていますので、できるだけ長期間のメーカー保証がついたパワーコンディショナを選ぶのが安心でしょう。

大きさ・設置場所

パワーコンディショナの大きさは家庭用太陽光発電用で小型エアコン(浴室換気乾燥機)程度、大規模な産業用太陽光発電用になると、大きいもので電話ボックス程度のものもあります。

例えば、10kW程度の家庭用壁掛けパワーコンディショナを例にします。まず、パワーコンディショナには屋内設置用と屋外設置用が存在します。

屋内設置用パワーコンディショナは、できるだけ分電盤(ブレーカー)の近くに設置するのが一般的です。浴室など湿気が多い場所は故障の原因になるので避けた方がいいでしょう。

屋外設置用パワーコンディショナは、屋内にパワーコンディショナを設置するスペースが確保できない場合などにオススメです。いずれにしても、パワーコンディショナを設置する場所は、施工を依頼する太陽光発電業者としっかり相談しておくことが重要です。

変換効率

パワーコンディショナは、太陽光パネルで発電した直流電気を、家庭内の家電で使用できる交流に変換する役割を持っています。パワーコンディショナの変換効率とは、この直流から交流への変換時のロスの割合ことを指しています。したがって、変換効率が100%に近いほど、変換時のロスが少ないことを示しています。

現在、パワーコンディショナの変換効率は、どのメーカーも高い変換効率(95~97.5%)を実現しています。メーカーごとの差が少ない要素となりますので、パワーコンディショナを選ぶ際は、変換効率だけを重要視しなくてもよいでしょう。

運転音

パワーコンディショナは、太陽光発電が発電を行わない夜間は運転を停止しているため、運転音も鳴ることはありません。

また、運転中も図書館内程度の静けさなので、通常はあまり気にする必要はないでしょう。ただし、パワーコンディショナの近くに住宅等がある場合は、設置場所に配慮したほうがよいでしょう。

災害時の自立運転機能

パワーコンディショナには、地震などの災害による停電時、太陽光発電で発電した電気を家庭内の家電で使用することができる「自立運転機能」がついた機種もあります。

「自立運転機能」がついたパワーコンディショナは、自立運転用のコンセントに使用したい家電を接続することで、停電時でも1,500W程度までなら電力を使用することが可能となります。

ただし、「自立運転機能」がついたパワーコンディショナのほうが高価格になる傾向にあるので、パワーコンディショナを選ぶ際にはしっかりと確認するようにしましょう。

パワーコンディショナの仕組み

パワーコンディショナの中にはいくつかの装置が存在し、それぞれ違った機能や役割を担っています。

インバータ部

インバータ部は、冒頭でも説明しましたが、太陽光発電システムで作った電気を「直流」から家庭内で使用できる「交流」へ変換する機能を担っています。

この直流から交流への変換は「変換効率」という言葉で表され、変換効率98%というパワーコンディショナも存在します。もちろん、変換効率が高いほど、太陽電池モジュールで作った電気をロスなく活用できることになります。

電圧上昇抑制機能(電圧抑制)

太陽光発電システムは、作った電気を電力会社に売ることができます。一般的に「売電」と呼ばれるこの行為を行うためには、自宅で作った電気をパワコンから外の電柱(電線)に戻す「逆潮流」を行う必要があります。

このとき、パワコンの電圧を電線の電圧より高くしないと、「逆潮流」を行うことはできません。ただし、日本の法律上、「100V供給の電圧の場合、101V±6Vもしくは202V±20Vを超えない範囲」と定められています。そのため、パワーコンディショナには範囲内で電圧を調整する「電圧上昇抑制機能」が備わっています。

また、電線の電圧がパワコンの電圧よりも高い場合、電線に電気を流せません(売電ができない)。この状態のことを「電圧抑制」といいます。「電圧抑制」は、以下の状況で発生する可能性があります。

  • 円柱状のトランス(変圧器)が付いた電柱から遠く、間に売電を行う住宅や発電所がある場合(売電により電線の電圧が上昇するため)。なお、トランスが付いた電柱は、高圧線からの電気を家庭に供給するための100Vに調整する機能があります。
  • 周囲に大量の電気を消費する工場などがある場合で、工場が休みの日(普段は工場が大量の電気を消費して電線内の電圧が低いが、工場が休みの日に電気が使用されず、電線内の電圧が高くなるため)。
  • 電柱と引込線取付点を繋ぐ引込線が長い場合や、引込線取付点とパワーコンディショナの距離が遠い場合も、パワコンの電圧が低くなり、「電圧抑制」が発生する場合がります。

「電圧抑制」は一時的な場合が多いため、しばらく様子を見れば改善することがほとんどです。たびたび発生する場合は、電力会社と相談し、電流と電圧を測るための測定器を取り付けてもらいましょう。また、最寄りの電柱にトランスを設置したり、引込線などを太い線に張り替えることで改善する場合もありますが、費用は自己負担となります。

パワーコンディショナの最大電力点追従制御(MPPT)機能とは?

太陽光発電のパワーコンディショナー

太陽光発電システムは、太陽の光を太陽電池モジュールが浴びることで発電を行いますが、当然、天候は毎日同じではありません。晴れの日もあれば曇りの日、雨の日もあります。また、晴れの日でも季節や地域によって、日射量(太陽からの光の強さ)が異なります。

太陽光発電は、日々異なる日射量のもとで発電を行っていることになるわけですが、どのような日射量であっても、電流と電圧の最大出力点(可能な限り発電量が多くなる場所)を割り出し、調整してくれるのがMPPT(最大電力点追従制御)と呼ばれる機能です。

MPPT(最大電力点追従制御)は、家庭用の太陽光発電システムにも搭載されていますが、発電効率が重要となる大規模な産業用太陽光発電システムでは必須機能と言っても過言ではありません。

MPPT制御の方法で変わるパワーコンディショナの種類

MPPT制御を行うパワーコンディショナには、「集中型」と「マルチストリング型」の2種類が存在します。

  • 集中型パワーコンディショナ

集中型は、一般的なパワーコンディショナの方式で、太陽電池モジュールとパワーコンディショナをつなぐ回線が1つだけのタイプになります。また、集中型の場合、パワーコンディショナにつなげる太陽電池ストリング(太陽電池モジュールを直列で配線したもの)を同じ枚数にあわせる必要があります。

  • マルチストリング型パワーコンディショナ

マルチストリング型は、太陽電池ストリングごとに回線があり、パワーコンディショナとつながっています。そのため、各回線の太陽電池ストリングは、それぞれ枚数やパネルの形状を自由に選ぶことができます。

パワーコンディショナの自立運転機能とは?

パワーコンディショナの自立運転機能は、停電時にも太陽光発電システムで作った電気を使用できるという機能です。

災害時などで電気の供給が止まってしまったときでも、パワーコンディショナを通常モードから「自立運転モード」へ変更し、使用したい家電をパワーコンディショナに付いている「自立運転用コンセント」に接続することで、1.5kW(1,500W)の範囲ないであれば、家電を使用することができます。ちなみに1.5kW(1,500W)で動かせる家電には、冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器、トースター、パソコン、携帯充電器などがあります。

パワーコンディショナの自立運転機能の仕組み

停電時でも電気が使用できる自立運転機能は、太陽電池モジュールにあります。太陽電池モジュールは、たとえ停電で電気の供給がなかったとしても、太陽の光を浴びている限りは発電を続けます。そのため、パワーコンディショナを「自立運転モード」にすることで、太陽電池モジュールが発電した電気を使用することができるというわけです。

パワーコンディショナは太陽光発電システムの重要なパートナー

この記事では、パワーコンディショナの仕組みや機能などの基本的な知識について解説してきました。太陽光発電システムで作った「直流」の電気を、家庭の電化製品で使用できる「交流」の電気に変換することが、パワーコンディショナの主な役目であることがわかりました。

また、日射量に合わせて最大の発電量になるよう自動調節してくれるMPPT(最大電力点追従制御)は、大規模な産業用太陽光発電システムにとっても非常に重要な機能であることも忘れてはいけません。

太陽光発電システムとは切っても切り離せない関係にあるパワーコンディショナを正しく理解し、太陽光発電システムの運用に役立てていきましょう。

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FIT(固定価格買取制度)を利用した太陽光発電事業では、パワーコンディショナ等の電力契約による電気料金がランニングコストとして発生しています。この電力契約の中にはエコスタイルでんきに切り替えるだけで電気料金を削減できるものがあり、ランニングコストを抑えることで事業収益がアップします。

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